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第13話 アラスの風よ応えて…

(1776〜7年頃・オスカル満20〜21歳)

 オスカルの謹慎処分に腹を立てたばあやとアンドレのコミカルなシーン(後半にはない)。この頃のアンドレはかなり三枚目に描かれている。

 謹慎処分に乗じてオスカルはジャルジェ家の領地を視察し、初めて農民の貧しさを知る。
ド・ゲメネ公爵の非情なやり方に続き、オスカルは考えさせられることばかり。まだまだこのあたりのオスカルとアンドレはほぼ対等。後半のアンドレがオスカルを精神的にリードしているから、この頃のアンドレも後半とはやはり別人かも知れない。

 アラスでは若きロベスピエールとオスカルの出会いがある(後半は別人のように老け込んでいる、よほど苦労したのか)。
彼によって初めて聞かされる王室への批判、失望、人気の低下。

 もし、オスカルが同じように男として育ったのが法服貴族で弁護士一家だったら、剣ではなくペンで戦ったかも知れないなぁ。ペンは剣より強い!とばかりに三部会の議員になっていたかも?…まあ、当時は女には選挙権もなかったから本当なら無理だけど。

 アントワネットの事を批判するロベスピエール、王室の人気の低下は彼女に原因があると言う。オスカルは激しく怒るが人の話は冷静に聞かなくては…。彼女はまだまだ「貴族」の令嬢なのだ。

 一方、宮廷ではアントワネットとポリニャック夫人との出会いもある。アントワネットの寂しい心にまんまと入り込むポリニャック夫人。
同じ話で進行する二つの出会い、これも後にオスカルとアントワネットの道をわけることの暗示か?と勝手に想像すると楽しい。

 今回のイベントは農夫スガンの子供ジルベール(やたら物分かりの良い子供)を必死で助けるオスカルたち。
「貧しいのは王妃が悪いという人間がいるが、私にはわからない」とうなるようにスガンは言う。
重い税金…国王は冷たい人ではない。だが、民衆の心は冷えている。
王室への批判もさることながら、その責任がオーストリア人の王妃だという噂に、アントワネットの人柄を直接知るオスカルはショックを受ける。貴族社会の身分の格差をオスカルは現実に直面する。フランス全人口の96%は貧しく飢え、残りの4%の貴族は富んでいる。

 さあ、どうする、オスカル?
平等を振りかざすか、民衆と直接仲間になるか。
迫りくる新しい時代、激動への不安をオスカルは感じている。
どうしようもなく自分の無力、無知を思い知らされ、激しく動揺する心で馬を飛ばすオスカル、思わず落馬。アンドレはそんなオスカルの優しい面と、激しい面を見て、彼女を好きだと自覚する。
「一見、氷のように冷ややかなのに胸の中は炎のように燃えさかっている」
確かに冷ややかな顔だけど、結構人前ではっきりと怒るし、表面的にも燃えている人って感じがするんだけど…。



2000.7.14.up